先日参加した経営研修会での学びを、自分自身の整理も兼ねてここに書き残しておきたいと思います。同じ勉強会に集う経営者仲間の皆さんにも、何か一つでも持ち帰っていただけるものがあれば嬉しいです。
京谷さんの実体験に見た、稲盛哲学の「実践」の重さ
今回の研修会で最も印象に残ったのは、京谷さんが自らの経営の中でどのように稲盛哲学を実践してきたかという生の体験談でした。京谷さんは、事業を創業し100億円規模にまで成長させてこられた大先輩経営者です。その言葉には、規模の大小を超えて経営の本質を見抜いてきた重みがありました。
中でも心に残ったのが、京谷さんの名言「考えることを楽しむ」です。経営における問いや課題を、負担ではなく楽しみとして向き合う姿勢そのものが、100億円規模の事業を築き上げてこられた原動力なのだと感じました。
書籍やセミナーで稲盛哲学の言葉に触れる機会は多くありますが、それを頭で理解することと、実際の経営判断の場面で体現し続けることの間には、大きな距離があります。京谷さんの話を聞いて改めて感じたのは、哲学は「知っている」だけでは意味がなく、日々の小さな意思決定の積み重ねの中でこそ試される、ということでした。
日々の現場対応や数字のプレッシャーに追われがちな経営だからこそ、こうした哲学を軸に据えて経営判断を積み重ねていく姿勢には、大きな学びがありました。
座右の銘としての「謙虚にしておごらず、さらに努力を」
もう一つ心に残ったのは、稲盛氏の「六つの精進」にも通じる「謙虚にしておごらず、さらに努力を」という言葉です。実はこれは、以前から自分自身の座右の銘としてきた言葉でもあり、今回の研修会でこの言葉に改めて向き合う機会をもらいました。
経営が軌道に乗り始めると、どうしても「自分のやり方は正しい」という思い込みが強くなりがちです。しかし、業績が良い時こそ謙虚さを失わず、さらに努力を重ねる姿勢を持ち続けられるかどうかが、長く愛される店であり続けられるかの分かれ目になるのだと思います。
学び続けることが、実践力を高める
研修会を通じて強く感じたのは、「学び続けること」そのものが実践力を高める、という当たり前でありながら見落としがちな事実です。
一度学んだ知識も、時間が経てば薄れていきますし、経営環境も日々変化していきます。同じテーマであっても、学び直すたびに自分の経営状況に照らして新しい気づきが得られる。今回の研修会もまさにそうで、以前から知っていたはずの言葉が、今の自分の店の状況に照らすと全く違う重みを持って響いてきました。
学びを一度きりのインプットで終わらせず、継続的に振り返り、実践に落とし込んでいくサイクルこそが大切だと再認識しました。
自分の問いから得た気づき:多角化を成功させる鍵は「差分の徹底分析」
今回、私自身が研修会で投げかけた問いは「事業を成長発展させるための多角化のポイントは何か」というものでした。
これに対して得られた学びの核心は、ベンチマーク先との差分を、機能的価値と事業構造の両面から徹底的に分析し、それを実行し切ることにある、という点です。
経営における多角化(新業態の出店、新しい客層への展開、周辺事業への進出など)を考える際、私たちはつい「良さそうな成功事例を真似る」ことに目が向きがちです。しかし本当に問うべきは以下の2点だと学びました。
- 機能的価値の差分:自店とベンチマーク先とでは、顧客に提供している価値のどこが同じで、どこが違うのか。表面的なメニューや価格ではなく、顧客が本質的に求めている価値の構造まで踏み込んで比較できているか。
- 事業構造の差分:収益モデル、オペレーション体制、人材配置、仕入れや原価構造など、事業を成り立たせている「仕組み」のレベルでどこが違うのか。この差分を曖昧にしたまま表面だけを模倣すると、多角化はうまくいきません。
そして何より重要なのは、この差分分析を「分析して終わり」にせず、実行し切ることです。稲盛哲学に通底する「有言実行」「率先垂範」の姿勢とも重なる部分であり、分析力と実行力の両輪が揃って初めて、多角化は成長発展につながるのだと改めて実感しました。
自社の決意:総合商社から、製造メーカーへの挑戦
今回の学びを踏まえて、自社としても一つの決意を固めました。それは、総合商社としての立ち位置に留まらず、製造メーカーとしての領域に挑戦していくということです。
その第一歩として位置づけているのが、フクシマガリレイ様との共同開発商品「ウェルテイク」の展開拡大です。これまでは業務用冷蔵庫とのオーダー連携という限定的な機能にとどまっていましたが、これを飲食店内のオーダー全体へと発展させる構想を進めています。あわせて、当社連携POSレジとの連携も進めることで、店舗オペレーション全体を見据えたサービスへと広げていきたいと考えています。
これはまさに、研修会で得た「ベンチマーク先との差分を機能的価値・事業構造の両面から徹底的に分析し、実行し切る」という学びを、自社の事業そのものに当てはめる試みです。
- 機能的価値の面:冷蔵庫という限定領域から、飲食店の「オーダー」という体験全体に価値の範囲を広げる
- 事業構造の面:商社としての流通機能に加え、メーカーとの共同開発を通じてものづくりの機能を自社の中に取り込んでいく
これはまだ挑戦の途上ですが、今回の研修会での学びが、頭の中の理解で終わらず、実際の事業判断として動き出すきっかけになったことを、この場を借りて記しておきたいと思います。
経営者仲間へ:明日からの一歩
今回の学びを、自分の店でどう活かすか、以下の3点を実践してみようと考えています。
- 謙虚さのチェック:好調な時ほど、自分の判断を疑い、現場の声に耳を傾ける機会を意識的につくる
- 学びの再インプット:一度学んだ経営哲学も、四半期に一度は読み返し、今の経営状況に照らして問い直す
- 多角化を検討する際は、必ずベンチマーク先との「機能的価値」と「事業構造」の差分を言語化してから動く
- 自社では、フクシマガリレイ様との「ウェルテイク」や当社連携POSレジとの連携を通じて、商社機能とメーカー機能の両立に挑戦していく
同じ勉強会に集う経営者仲間の皆さんも、それぞれの店で活かせる視点があればぜひ教えてください。お互いの実践を共有し合うことで、学びがより深いものになっていくと感じています。